2011年1月15日、福井県立図書館で開かれた講演会「かるたの魅力―編集者が語る『ちはやふる』の世界―」に行ってきました。
同図書館で開催中の企画展に合わせたこのイベント、講演をしたのは福井県出身で講談社『BE・LOVE』編集部所属の冨澤絵美さんです。
競技かるたを題材に、現在11巻までリリースされている『ちはやふる』。といって、私が講演会に出かけたのは、競技かるたをやっているからでもなく、この作品にハマっているからでもありません(失敬)。基本的にはアノニマスな存在である編集者の〈仕事のプロセス〉を聞きたくて、ほぼ最前列に陣取って拝聴した次第であります。
自分自身、小学校に上がる前から競技かるたの世界に親しみ、編集者となった今もかるたを続けているという冨澤さん。そんな方がずっと「手がけてみたい!」とあたためていたのが、競技かるたを題材としたマンガの企画でした。なにしろ、就活時のエントリーシートにも、入社したらやりたいこととして「競技かるたを題材にした作品」と書いたというほどですから。
もちろん、すんなりと企画が通ったわけではなかったと思います。そこで、講演後の質疑応答で「社内でどのように企画を通したのですか?」と尋ねてみました。冨澤さんの答えをまとめると……
企画を通す決め手として、先輩に言われていたことがある。それは「単行本の帯に印刷したときに、読者が目を留めるフレーズを考えろ」ということ。そのフレーズは企画を通すときの決め言葉にもなる、と言われた。『ちはやふる』にとってはそれが〈競技かるたはスポーツ〉というフレーズだった。「かるたマンガをやりたい」と周りに言い続けていたら、ある人に〈競技かるたはスポーツ〉という反応があって、これだ!と。
冨澤さんの熱い思い、そして末次由紀さんという作家との出会い(次回作の企画を考えていた末次さんとの打ち合わせに、会社の先輩にくっついて同席したことがそもそもの始まりだったそうです。まさに運命の出会いですね!)。話を伺って『ちはやふる』は、まさに生まれるべくして生まれた作品なんだなあ、ということを感じました。
冨澤さんが単行本を手にとって「この子」「娘」と言っていたのも、すごく記憶に残る一コマでした。末次由紀さんという作家を、『ちはやふる』という作品を、心の底から愛している姿が言葉のはしばしに表れていた、自分にとっても心の洗濯になるいい講演会でした。こうした機会を作ってくださった関係者のみなさんに、心から感謝します!
[2014.4.17追記]
たまたま目にした別の方のブログが、すばらしいボリュームで圧倒されました。こちらもぜひどうぞ。
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